渋谷漫才大学(2017.12.19)

MCは竹内健人さん、教授役はパンクブーブー哲夫さん。
哲夫「俺みたいなおじさんを渋谷に呼ぶな!」


○テゴネハンバーグ ドラマのBGM
○インディアンス 昔ワルかった
○ボーイフレンド 温泉旅行
○キンボシ ボウリング
○デニス 運命の出会い
○いまさらジャンプ ホームランを打ちたい
ダンビラムーチョ 料理長


全組のネタを客席後方で見たのち、1組ずつアドバイス

・テゴネハンバーグ
ネタフリ部分について、
哲夫「問題提起してるようで、全然問題提起してないのよ。目的が分かんない」
音楽が流れたら彼女とキスできるタイミングになるかもしれない、とか目的があったら怒りやすくなると。
哲夫「そういうのがないから、(いい曲流してというフリに)変な曲を言っていくだけ」

例えばおさかな天国バラードバージョンのくだりも、
「もうちょっとムード出してよ」→歌う→「バラードバージョンにしろって言ってんじゃねえよ」
と振り直さなくても一気に行けるボケのはず。
結局ボケの数が出てこないから、そこを分けざるを得なくなってしまってるんだろうと推測。
最初にキスという目的で振っておけばもっといろいろボケのパターンも出来るのに。
哲夫「良い曲を流してくれ、で終わっちゃってるのが一番の問題かな」

ツッコミはお客さんの代弁者である。
頭でキスするというのを目的にしておけば、
哲夫「お客さんは『キスしようとしてる奴が邪魔される』からツッコミの奴の気持ちになって見れるわけ」
見ててイライラしたタイミングでツッコミがボケを怒ってくれるから気持ちいいんだと。
このネタにはそれがないから、お客さんはただぼんやりしたまま面白い所が来るのを待つだけ。
哲夫「1個1個は面白いから、お客さんも1個1個は笑うんだけど、その1個1個で全部終わっちゃうの」
ハマっていって「もうコイツが何を言っても面白い」という状態にはたどり着かないと。
哲夫「多分賞レースとかではウケはするけど最後まで残れないタイプ」

哲夫「面白さって多分これ以上そんなに伸びないからね」
ボキャブラリーが増えたりはするだろうけど、面白さなんて才能だから伸びないと。
哲夫「結局今何をしてるか、っていうと、面白さをいかに伝えるかっていう」
構成とかを変えればもっと見やすくなるはずなのに、その面白さがお客さんに伝わってないからウケてないんだと。
哲夫「自分たちではわかってるから面白いと思ってるんだけど、お客さんにはその画が見えてないから」
竹内「マックスで伝わってないってことですね」
哲夫「そうそう。マックスで伝わればめっちゃウケるから。…じゃない奴もいるかもしんないけど!」w


・インディアンス
哲夫「インディアンスはねえ、もう嘘なのよ。全部が」
言葉尻を拾ってそこを広げていくネタだけど、
そのボケに行くために、わざと言おうとしてるのが見えてしまうと。
間違えるはずのないとこをわざわざ間違えに行ってるから、
哲夫「揚げ足を取ってるんじゃなくて、揚げ足を取らせていただいてる状態なの」
哲夫「『あーコイツに言ってもらって自分が言いたいボケを言ってんだな』っていう感じがあるから予定調和になってんの」
予定調和を超えるために、結果としてボケを派手にするしかなくなってしまっている。
序盤からずっと派手なボケをしつづけてるから、最初の方はウケててもだんだん慣れられてしまうと。

またハモるくだりについて、
哲夫「ハモるのなんて絶対ナシだと思う」
ほんとは揚げ足取られてイライラしてなきゃいけないはずの木村が一緒になって楽しんでちゃダメ。
ハモるのなんて協力しなきゃ出来ないことだから、お客さんも『練習してきたのね』ってなっちゃう。
哲夫「ハプニング的な笑い(のネタ)をしてるのに、練習してきてる感があるから」
拍手は来ると思うけど、そこでやられた!とはなんないと。

お客さんはネタを見ながら、次どんなボケが来るか想像していると。
哲夫「その想像を超えたときに、お客さんは笑うから」
想像を下回ってもダメだし、かといって難しすぎてもダメで、そうなると工夫するのはテンポだったり。
ノンスタなんかは分かりやすいボケするけど、テンポの速さでお客さんに考える時間を与えないようになってる。
哲夫「(インディアンスは)どうせお前がワーッてなるんでしょ、って」

インディアンス側から質問。
田渕「たくさんありますね。えーどうしようかな…」
今年はテンポに差をつけたいと2人で相談してる。
今貰ったダメ出しからすると、まだテンポが一定に見えてしまってるんですよね…と田渕さん。
ただあまり落として、ボケの意味なさがバレたくはないんだと。
哲夫「テンポは変えなくていいと思う。リズムを変えれば」
木村さんが喋ったのを、田渕さんが引き取ってバーッと喋ってる状態だから、ずっと同じに見えるんだと哲夫さん。
「ポン(田渕)→ポン(木村)→ポン(田渕)→ポン(木村)→ポン(田渕)→ポン(木村)→バーッ(田渕)」
っていう会話の流れの中でバーッと喋り出すようにすれば、お客さんはどこで来るかわからない。
哲夫「来そうで来ない、とかがないのよ。来そうと思ったらお前必ず来るから」w

田渕「銀シャリさんの漫才とかって、鰻さんがあからさまに間違えはるじゃないですか。というのとはやっぱり違う話ですか?」
哲夫「違う」
鰻さんの場合も、もちろんお客さんもわざと間違えてるのはわかってる。
ただ銀シャリが見せようとしてるのは鰻さんのとぼけた感じの面白さ。
インディアンスは、そこの面白さを見せに行ってるわけではないと。
哲夫「ほんとに間違えたかのようにお前が拾って、お前が面白くなりに行ってるから。だからもうそれは意味合いが全然違う」


・ボーイフレンド
ツカミをみんな入れてたりするけど本ネタの流れに沿ったツカミをすればいいのに、と。
流れを一回ぶった切る形になっちゃうから、ツカミでウケたとしても立て直しになると。
賞レースで全然関係ないツカミをするのって実は物凄い危ないことで、
哲夫「ツカミでスベッたらもう『面白くない奴』って(見られちゃう)」
それが仮に次の展開のためのボケになっていたら、話は聞けるからまだ大丈夫になると。

パンクブーブーM-1でやったネタでいうと、ボロアパートをツカミにしてネタに入って行ってると。
哲夫「話題定義でちょっと変なこと言ってるだけのことだから大ダメージはない…」
ツカミがスベッて話を変えると、お客さんはハラハラしたまま1個目のボケを待つ形になってしまうから良くない。

ネタの内容について、哲夫「粗いんだよね」
最初の方に重ねるボケが全部失礼なだけ。
哲夫「失礼だろ!ってツッコまれて止めてないの。ボケのルールとして、ツッコミに怒られたことはやっちゃダメだから」
1回怒られたことを無視してボケ続けてしまうと、ツッコミがお客さんの代弁者では無くなってしまうと。
哲夫「あとはもう無法地帯なわけよ。誰にも止められない」
ツッコまれたらツッコまれた範囲内でボケないと。
哲夫「ツッコミっていうのは、ボケ幅をどんどん縮めていく作業だから」

テゴネハンバーグと同じく、
ネタの頭で「一緒に温泉旅行に行ったことないんですよ」と振っているが、
哲夫「(これだと)行ったら終わりだから。行ってどうなりたいかを言わないと」
最初にゴールをお客さんに示して。
「こういう風に仲を深めたい」とか振っておけば、それにそぐわない事をしたら怒られるというセオリーができる。


・キンボシ
哲夫「俺がネタの中で一番大事にしてるのは、何をしたくてこのネタやってんのか、何を面白いと思ってこのネタ作ったのか」
それが何個もあると、めちゃめちゃウケても印象に残らないんだと。
哲夫「キンボシのネタは、持ち味っちゃ持ち味なんだけど、ボケを見せたいのかツッコミの例えを見せたいのかハッキリしてないの」
今の作りだとボケはボケで面白いことを言っているのに、
そのボケをツッコミが食いにかかってしまっているから散らかってしまっている。
哲夫「そこを見せたいんだったら、ボケがもっと死に役になんないと」
ハライチなんかは、澤部を見せるために岩井があの役に徹していると。

西田「ツッコミだけのネタもやってみてもいいってことですよね?」
哲夫「やってみるかどうかは、好きにしやがれクソが、って感じだけど」
自分たちが面白いと思ったならやればいい。

みんなウケようと思ってるから、おかしくなってしまうんだと哲夫さん。
ウケるためにわざわざ流れを切ってまでボケを入れたりするのはよくない。
漫才は、最終的に「コイツが何言ってもおもしれえや」の状態に持っていくのがベスト。
ウケて笑いがおさまっての繰り返しが、流れを作っていればちゃんと階段状に積みあがっていくものだと。
積みあがっていれば0まで落ちることもないし、
そこからちょっと上がるだけで既に積みあがってる分があるから結構な高さになる。
それが、ウケるからって違う角度を挟んで、積みあげていったものを崩してしまいがち。
ウケるボケでも省いて、流れを重視する方が大事だと。


・デニス。
運命的な出会いがしたい、なのに出てくるボケは外人ボケが多かったり。
哲夫「それが見せたいんだったら、そのネタをやれよっていう」
変化球で1箇所入れるぐらいならまだしも、2箇所も3箇所も入っていると、
全然違うドラマが始まる部分を見せたいのか外人ボケを見せたいのかが分からない。

哲夫「ネタの題材がダサいよね」w
テンダラーさんもこのネタやってるけど「映画とかではあるけどホンマにあるんですかね?」という入りで始めている。
それならお客さんもわかってやってるんだと共感できる。
真実味を出すために、嘘だとわかってても納得させるやり方をしないと。
お芝居とかでも、ほんとに死んでるとは思わなくても、死んでるかのような演技で魅せるから、感情移入ができるんじゃないかと。

途中も、運命的な出会いがしたい人なら、途中でツッコミが止めないと嘘だと。
哲夫「すっごい乗っかるじゃん。なんで乗っかってんのかなと思ったら『○○』が言いたくて乗ってんのよ。あーこれ言いたかったんだって思ったもん。」
結局ただ無茶苦茶に付き合ってるだけ、それに付き合う理由もないし。

これも結局目的論で、
ゴールが「手と手が触れ合う」の部分に設定しちゃってるから、
哲夫「『ゴールその後』なのよ」
出会う前にいっぱいボケて、出会わせてくれよ!なら成立するけど。

植野「もしかして俺らだけ褒められるんちゃうかと思ってた自分をぶち殺したいですね」www


・いまさらジャンプ
ボケが「最初に言っとけば良かったんだけど…」といろいろ難癖付ける形で進んでいくけど、
後付けでやるなら何とでもなってしまう、ただただツッコミが踊らされてるだけ。
哲夫「それが何回も続くわけよ。もういい加減付き合うのやめようぜ。(ボケは)ホームラン打つ気ないんだもん!」
全力で打とうとして出来ないならまだしも、打つ気ない人の話は聞かないべきだと。

ボイフレにも言ったとおり、ツッコまれたらそのボケはやっちゃダメ。
哲夫「ツッコミでボケしろがどんどん狭まってくるのよ」

例えば椅子に座るという状況があったとして、
「なんで立ってんだよ!」とツッコまれたら、今度はもう座るボケをしなきゃいけない。
次に「うしろ!うしろ!」とツッコまれたら、今度は前を向いて座った状態のボケをしなきゃいけないと。
縛りが増えてボケしろが狭まったところで、お客さんの想像の範囲を超えてくると哲夫さん。
哲夫「自由がどんどん無くなんないといけないの」
今のネタだと、縛りが無い状態でずーっと後から付け足してるだけだからダメ。

あと、ツッコむときに綺麗に喋りすぎ、とアドバイス
哲夫「もうちょっと下手な演技した方がいい」
困らされてる感があんまり無いと。
もっと下手にしたら、お客さんが頑張れ!と感情移入しやすいかも。


ダンビラムーチョ
ツッコミが付き合いすぎ。
キャラクターが面白いだけになっちゃってるから、そこをどう活かすかをしてかないと。
哲夫「キャラクターが面白いからそこで笑いが来ちゃうのよ」
笑いが来てるから何となくオッケーな感じになってしまっているけど、
哲夫「もっとウケるよお前ら」

キャラ頼りになっているから、工夫していないと。
緩急も付けれるし怒れるとこもいっぱいあるのに、
おばちゃんをやりたいがために、どうぞどうぞになってしまってるのが勿体無いと。
哲夫「そこはちゃんと怒らないとお客さんもフラストレーション溜まってくるから」

凄い面白いキャラクターなんだけど、お客さんも慣れてきてしまうと。
哲夫「一瞬ちゃんとやろうとしてるところが見えないと。帰って終わりだもんね、別の店行こって」